被災の現実 The reality of the disaster
障害者 高齢者
岩手県岩泉町高齢者グループホーム楽ん楽ん入所者9名が洪水被害で亡くなり、東日本大震災では障害者の死亡率が全住民の2倍となりました。 目が見えない。耳が聞こえない。身体が不自由。このような状況で地震の揺れや津波、土石流の振動を感じたらどれほど怖いでしょうか。 切迫した状況を肌で感じながらどうすることもできず支援を必要とする人たちがいます。 このことを少しでも留意していただければ助かる命は必ずあります。高齢者や障害者の人たちがどのような支援を必要としている周知しておきましょう。
視覚障害者への支援
災害の状況が不明で避難場所(安全である場所)まで移動できません。
肩や腕を貸す形で、半歩前歩き誘導をお願いします。誘導方法や歩行速度を適時確認してください。
誘導中は周囲の状況を細かく伝えてください。(がれき、陥没、段差)
聴覚障害者への支援
防災行政放送、ラジオや周囲の危険を知らせる声が聞こえません。呼びかけもわかりません。 差し迫った状況で立ち尽くしていることがあります。
避難誘導をお願いします。
誘導中は周囲の状況を身ぶり手ぶりやゆっくり話しかけることでお知らせください。
物をたたいたり、笛を吹いたりして知らせますので救助をお願いします。
手話のできない聴覚障害者はいます。
知的障害者への支援
防災無線や拡声器の音声情報を聞いても危険な状況が理解できず、周囲の状況が把握できません。
自分の意思表示ができず、混乱状態になっている場合があります。
避難誘導をお願いします。
身体にふれないでください。
やさしく声をかけ、落ち着かせてください。
高齢者 肢体不自由者への支援
自力での避難行動が困難です。車いすの方は階段を使用できません。
緊急で早急な非難が必要な場合は担ぐなどの行為が必要です。 体力に自信のある方はファイヤーマンズキャリーを行い安全な場所まで担いで避難をお願いします。
水の問題
被災時の水についてまとめます。
飲用水では2~4リットル必要です。季節や運動強度で増減します。
普段生活に使用される水は一人当たり240リットルです。使用内訳は入浴40%トイレ21%炊事18%洗濯15%となっています。
水道が使えなくなると販売されている水はすぐに店頭からなくなります。
給水車や店舗には行列ができます。手に入るには時間を要します。
消火栓が使用できず、火災に対応できません。
病院は医療行為に水を多く使用するため治療が受けられません。
水洗トイレは使用できません。くみ取り式及び仮設トイレ使用できます。トイレは水が不足しているため清掃が不十分なことが多く非常に不衛生です。
トイレの我慢とトイレの頻度を減らそうと水分を取らなかったため体調不良者が多く出ます。
給水量は(地震発生~3 日まで 一人当たり3リットル)(3日目~10 日まで一人当たり 20リットル )を目標とされています。阪神淡路大震災では発災後から10日まで一人当たり16リットルの給水がありました。
東日本大震災
水道管破損により水は蛇口からでなくなります。容器に入れ運搬しなくてはなりません。運搬作業は大変な重労働です。
水の問題に対する基本は備蓄です。生活用水では風呂や洗濯機にためて使用できます。飲料水は清潔なペットボトルやポリタンクに空気が入らないようにして水道水を入れておくと良いでしょう。この飲料水は水道水を使用し冷暗所に置いて4~5日程度までとされています。適時使用し入れ替えが必要です。 それ以上に安全な水が必要とされる方は未開封の販売されているペット入りの水をケースごと購入し順次使用交換していきましょう。
備蓄された水もいつかはなくなり,給水を受けます。上の写真にあります一輪車やリアカーなどを購入しておきますと水をはじめとする重量物の運搬が容易になります。
犯罪行為
東日本大震災の混乱、無秩序により犯罪が多発しました。
ささいな口論からの傷害事件!
商店・金融機関への店舗荒らし、自販機荒らし!
海外での解体転売を目的に入国する外国人による盗難!
福島第一原発事故の警戒区域内のコンビニエンスストアにおいて現金自動預け払い機(ATM)を破壊し、現金を盗む!
燃料の不足によるガソリンの窃盗!
よそからやってきた「偽ボランティア」による窃盗!
原発避難指示解除準備区域で、住宅のエアコン室外機を中国人2人が窃盗!
がれきの中の電柱から変圧器を中国人2人が窃盗!
余震で停電になったことに乗じて住居に侵入し、女性に乱暴!
震災の復旧作業に来ていた男が路上で少女に暴行!
被災者を装い、「預金通帳を紛失した」と偽って再発行させ、その通帳の詐取!
被災地ではない場所における災害募金詐欺!
このような非常事態での犯罪動機は、
正しい判断能力の欠如している環境。
非常事態をよい機会と捉える感情。
日常生活で抑圧された性的欲求が混乱により解放。
運搬の滞りや避難生活の長期化による食料・燃料不足から、状況的にやむを得ず、仕方なく。
などが挙げられます。
発災直後から財産の管理防犯をしっかり行い、高齢者、女性、障害者、児童、小児を犯罪から守りましょう。
ペット
過去の災害において、ペットが飼い主と離ればなれになってしまう事例が多数発生しています。
避難所にともに入ることをためらい捨てる!
飼い主が死去したりしたために引き取り先がない!
自分の生存が脅かされる中、置き去りとなる!
このような状況で野生化したペットが放浪動物になり人への危害を加える可能性があります。 平常時において家族として生活するペットと過酷な被災状況の中を一緒に生き抜く準備をしましょう。
環境省が配布している対応パンフレットがPDFでダウンロードできます。↓
デマ
混乱の中、信じがたい情報が交錯します。
熊本地震「動物園からライオンが逃げた」などとTwitterにうその投稿を行い、動物園の業務を妨害したとして、熊本県警は7月20日、神奈川県の会社員の男(20)を偽計業務妨害の疑いで逮捕した。
混乱の渦中にパニックを引き起こす情報を流す心無い人は確実に存在します!
不確かな情報をうのみにして慌てて行動しない!
報道や行政機関のウェブサイト等信頼のできる情報源で事実を確かめる!
悪質なデマを広めないように、不確かな情報を安易に流さない!
他人に情報を伝える前に、情報の真偽を確認する!
以上のことを周知していただき、根拠のないデマを広げないように気をつけましょう。
避難所
避難所での生活は過酷であることが知られています。 基本的には学校の体育館や集会所、公民館です。
食料の配給は発災後3~4日はおにぎり1日1個ですごさなければなりません。
これから起きる災害の規模や都心部のようなエリアでは、配給がない可能性があります。そのような理由から政府、地方自治体は個々での備蓄を呼びかけています。
空調も期待できません。冬は寒く、夏は暑くなり忍耐が必要です。 プライバシーもなく、着替えは人目を気にします。さ細な音も気になるほど密集生活ですので精神的に疲弊します。
避難所でのペットのトラブルでは、
犬の鳴き声や臭いなどの苦情が最も多い。
ペットによる子供への危害が心配。
ノミが発生した。
など飼い主による適正な飼育が行われていないことによるトラブルが多発します。 ペットについて、環境省が対応マニュアルを作成しています。よく確認し備えておきましょう。