Survivalism

被災地の健康  Health of the affected areas

健康を守るために

被災地での避難所における生活が長期に及ぶことはさまざまな健康への影響が懸念され、健康を守るための対策が重要です。

暑さへの対策

太陽

暑い日が続く季節は、脱水や熱中症で体調を崩さないように注意することが必要です。日中に外出するときには日傘の使用や帽子の着用、日陰の利用などにより暑さを避け、こまめに水分・塩分補給をしましょう。

特に、節電・節約を意識するあまり、クーラー等を使わず熱中症になることがないよう、室温をこまめに計測し、28度を目安として、適度にクーラー等を使用することも重要です。

また、暑い日に、めまい、頭痛、吐き気などの症状がみられた際には、すぐに医療機関を受診しましょう。

食品の衛生

衛生

調理の前や食事の前には、手洗いを励行し、食料は冷暗所での保管を心がけ、適切な温度管理を行いましょう。

加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱し、提供された食事は早めに食べましょう。 消費期限の過ぎた食品は保存せず、捨てます。 使用した調理器具は、しっかり洗浄しましょう。

下痢、腹痛、おう吐、発熱の症状がある方や手に傷のある方は食品を取り扱う作業をしないようにしましょう。

トイレの衛生

トイレ

利用者の数に応じた手洗い場とトイレを設置しましょう。男性用、女性用を分けるなど利用しやすいようにしましょう。

使用後は、手指を流水・石けんで洗い、消毒を励行しましょう。 トイレは、定期的に清掃、消毒を行いましょう。

トイレの消毒方

3%クレゾール石鹸液

クレゾール石鹸液

【50v/v%溶液を使う場合の希釈方法】
消毒薬のふた(約3ミリリットル)10杯をコップ5杯(約1リットル)の水に薄めます。

※逆性石鹸液を使用する場合は、0.1%~0.2%の濃度で使用してください。 方法 噴霧器で噴霧します。噴霧器がない場合、コップなどで散布します。トイレにつき180ミリリットル(コップ1杯)程度使用します。


頻度 1日1回を目安として消毒してください。トイレの使用程度により適宜追加してください。

注意事項 原液や高濃度の希釈液が肌につくと、炎症などの症状を起こすことがあるので、直接、肌につかないように注意してください。取り扱う際には、薬品の注意事項に従ってください。

トイレを使用した後の手洗いについて、
1、流水が使用できる場合は、流水と石鹸で手を洗ってください。
2、速乾性アルコール手指消毒薬があれば、使用してください。
目に見える汚れがある場合、1を優先してください。

屋外の環境

蚊

気温の上昇にともなって、避難所のゴミ集積場や水たまりのまわりなどでは、蚊やハエなどが発生しやすくなります。 お互いに声をかけ合い、定期的にゴミ集積場を含めた避難所全体を清掃しましょう。

ゴミは定期的に収集して、避難所外の閉鎖された場所において管理しましょう。

粉じん

粉塵

家屋などが倒壊すると、コンクリートや断熱と耐火被覆に用いられた壁材などが大気中へ舞ったり、土砂などが乾燥して細かい粒になったりします。 これら「粉じん」を長期間吸い込んだ場合、肺にそれらが蓄積することで、「じん肺」という病気にかかる可能性があります。

「じん肺」は、建造物の解体などに従事する方におこりやすく、初期には自覚症状がないため、気づかない間に進行し、やがてせき、たん、息切れがおこり、 さらに進行すると呼吸困難、動悸、さらには肺性心といって、心臓が悪くなり、全身の症状が出現します。 「じん肺」を根治する方法はないため、予防が非常に重要です。

粉じんの発生する現場での作業は、専門の業者などに依頼することが薦められますが、個人で作業する場合には、以下の方法をできるだけ取り入れてください。 粉じんの発生をおさえましょう 。 水をまいたり、粉状のものはあらかじめ水でぬらし粉じんを除去しましょう 。 廃棄装置、除じん装置があれば使用しましょう。

室内で作業をする場合には換気をしましょう。粉じんの吸入を防ぎましょう 。 使い捨て式防じんマスクなどを着用しましょう。 粉じんが付着しにくい服装を選びましょう。粉じんが舞い上がるような環境の中では、マスクを用いることが必要です。

N95

マスクは、防じんマスクやN95マスクなどのマスクを使用することが望ましいのですが、これらが手に入らない場合や、 粉じんにそれほど長くばく露されない状況であれば、花粉防止用マスクなどの活用が考えられます。



粉じんの吸入を防いで健康を守るために、作業現場においては暑くてもマスクで鼻と口を同時に覆い、顔にフィットさせて正しく着用することが重要です。

一酸化炭素中毒の予防

一酸化炭素

一酸化炭素中毒の恐れがあるので、屋内や車庫などの換気の良くない場所や、窓など空気取り入れ口の近くで、 燃料を燃やす装置(発電機、木炭使用のキャンプストーブなど)を使用しないようにしましょう。

一酸化炭素は無臭無色であり、低い濃度で死亡する危険があります。燃料を燃やす装置を使用する場合には、換気に心がけましょう。

エコノミークラス症候群 (深部静脈血栓症/肺塞栓症)

防止トレーニング

食事や水分を十分にとらない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていなどして足を動かさないと、血行不良が起こり、血液が固まりやすくなります。 その結果、血の固まり(血栓)が足から肺などにとび、血管を詰まらせ肺塞栓などを誘発する恐れがあります。 この症状をエコノミークラス症候群と呼んでいます。

こうした危険を予防するために、狭い車内などで寝起きを余儀なくされている方は、定期的に体を動かし、十分に水分をとるように心がけましょう。

アルコール、コーヒーなどは利尿作用があり、飲んだ以上に水分となって体外に出てしまうので避けましょう。 できるだけゆったりとした服を着ましょう。

また、禁煙はエコノミークラス症候群の予防においても大変重要です。 胸の痛みや、片側の足の痛み・赤くなる・むくみがある方は早めに医師に相談してください。

長時間足を動かさずに同じ姿勢でいると、足の深部にある静脈に血のかたまり(深部静脈血栓)ができて、 この血のかたまりの一部が血流にのって肺に流れて肺の血管を閉塞してしまう(肺塞栓)危険があります。 これを深部静脈血栓症/肺塞栓症といいます。

初期症状は大腿から下の脚に発赤、腫脹、痛みの症状が出現します。このような症状が発生したら急いで医療機関を受診する必要があります。 足にできた血栓が肺に詰まると、胸痛、呼吸困難、失神の症状が出現し、大変危険な状態になります。

長時間同じ(特に車中での窮屈な)姿勢でいないようにしましょう。また、足の運動をしましょう。

感染症の流行を防ぐ

避難所での集団生活では、感染性胃腸炎等の消化器系感染症などが流行しやすくなります。 避難所の生活者や支援者は、こまめに手洗いを励行するよう心がけてください。 可能であれば、擦り込み式エタノール剤やウェットティッシュを世帯単位で配布するのが望ましいです。

発熱・せきなどの症状がある方は避難所内に風邪などの病気を流行させないために軽い症状であってもマスクを着用しましょう。 長引くときには結核などのおそれもあります。

下痢やおう吐などの症状がある方は脱水にならないよう水分補給を心がけましょう。 また、周囲に感染を広げないように手洗いを励行してください。 これらの症状がある方は速やかに医師の診察を受けてください。可能であれば、入院を含む避難所外での療養を検討しましょう。

また、けがをした場合にはそこから破傷風に感染するおそれがあります。 土などで汚れた傷を放置せず、医療機関で手当を受けるようにしてください。 食中毒の原因は、細菌以外にもウイルス、自然毒(フグ・キノコ等)などさまざまなものがあります。

ノロウイルス

ノロウィルス

冬はノロウイルスに注意しましょう。 年間の食中毒の患者数の約半分はノロウイルスによるものですが、うち約7割は11月~2月に発生するなど、 この時期の感染性胃腸炎の集団発生例の多くはノロウイルスによると考えられます。

ノロウイルスによる食中毒は、主に、調理者を通じた食品の汚染により発生します。 ノロウイルスは、感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいため、注意が必要です。

破傷風

破傷風菌

破傷風は、けがの傷口が土などで汚れていると感染します。 土の中には破傷風菌が存在しています。外傷を負い、傷口から破傷風菌が侵入した場合に、破傷風に感染することがあります。

破傷風は、人から人に感染することはありません。 感染すると、3~21日後になって、全身のこわばりや筋肉のけいれんが起こります。 はじめは、あごや首の筋肉のこわばりや口が開けにくくなり、こわばりが全身へ広がることもあります。 意識ははっきりしています。重症の場合は死に至ることもあります。